注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2014年11月22日土曜日

映画『インターステラー』86点


巨匠クリストファー・ノーラン作品。

「これぞノーラン!もうお腹いっぱいです!」という、
まさに彼のドヤ顔が目に浮かんで離れないほど彼の世界観、思想、
そしてSF映画はゼログラビティが最高だと思うなよお前ら、
最新の宇宙理論を使えば映画でこんな使い方が出来るんだぞ!
というテクニックとアイディアがこれでもか!
と凝縮された169分だった。
ダークナイトが最高傑作だなんて言わせないぜ!
ってほどのドヤ顔が浮かぶ作品でした























言いたいことはたくさんありそうで無い映画なんだけど、
とりあえず感想を端的にまとめてみると

●相変わらずマシュー・マコノヒーは抜群

●『ゼロ・グラビティ』後のSF映画として圧倒的な独自性を放っている

●学者と一緒に隙の無い最新宇宙理論盛り込んでますよ感の凄さ

●と思ったら、エンディングに向けて急にメルヘンチックに

●地球と宇宙と過去未来とグチャグチャになりそうな構成をまとめる脚本力

●映像も凄いけど何よりも音楽が素晴らしい

●インセプション感

●結局「愛は時空を超える」

●正直ちょっと長い


こんな所でしょうか。
以上の点を、いくつか詳細に紐解いてみると・・・


俳優陣の分厚さは相当なモノで、予想外のタイミングで出てきた
マッドデイモンのウザさって言ったらこの上なかったけど、
何よりもMVPはマシュー・マコノヒー。
アン・ハサウェイはラストシーンの悲しげな顔がベストだった

















一瞬冷静になると「何やってんのコイツら?」的な映画になりかねない
ギリギリのラインをせめぎ合うこの映画は、彼の演技力無しには語れない。


また、『ゼロ・グラビティ』という映画界における
現代技術を結集したSF映画の登場によって、
「ゼロ・グラビティ前」・「ゼロ・グラビティ後」
という基軸すら出来上がっている昨今、
同じSFモノでも全くもって似て非なる世界観、テーマ設定、物語を
169分作り上げた手腕はさすがと言わざるを得ない。


その独自性を支えるのは、インセプションなどにも色濃く反映される
「時空」「次元」などの物理学的、哲学的要素だ。
地味に良い味出してたジェシカ・チャスティン
『ゼロ・ダークサーティー』のあの人。


















実際、この映画には、理論物理学者のキップ・ソーンが
科学コンサルタント兼製作総指揮として参加しており、
嘘つかれたってどうせ我々には全く分かりませんし、
疑うつもりはありません的な、
アインシュタイン顔負けの宇宙専門用語が飛び交う。


まぁ正直何が何だか雰囲気でしか分からないまま物語は進むのだけど、
それなりに説得力はあるし、「こっちの時空に行くと1時間が7年」とか、
別の銀河系へ!太陽系サヨナラ!とか、
今までのSFモノには無い要素で映画全体が構築されているので、
「あ~これはお決まりのこのパターンね」的な先読み着地点も無い。

そして中盤を過ぎた当たりから加速度的に物語は盛り上がりを見せ、
観賞者がトイレに行く隙を与えない。
恐ろしいほどリアルだった宇宙のどこかにある「水」のある惑星
実際はアイルランドらしい















その隙の無い引き込まれる演出の核は映像では無く、音楽にある。
それを手がけたのは『バットマン』三部作も担当したハンス・ジマー。

特筆すべきは「無音」の散りばめ方だ。
『ゼログラビティ』でも「無音」の演出方法はあったが、
この映画の無音の使い方は、
圧倒的な緊張感と独特の世界観を形成していて、観賞者の心を奪う。


そんな隙の無い大作は、大作と呼ぶにふさわしく、様々な顔を見せる。

ガチガチに理論武装しているかと思いきや、
終盤にかけて急速にメルヘンチックなお話にオチが向かっていくのだ。

ネタバレになるので詳細は避けるが、
一言で言えば「愛は時空を超える」。それに尽きる。
親子愛は人類愛を超える。そして時空も超える。
















ここら辺が賛否両論別れるところだと思うが、
ロジックで攻めに攻めに攻めてきたくせに急に情緒で攻めてきたなノーラン!
っていうツンデレ的な効果で評価するか、急に説得力無くなったよ!と
突き放してしまうか、難しいところ。


個人的な意見では後者に近いのだけれど、
これはあくまでもフィクションという名の「映画」だし、
「映画」は、エンターテイメントという要素が
評価基準として欠かせないモノだと思っているので、
そういう意味でメルヘンチックなエンディングも
作品トータルで見たときに金太郎アメ的な総合力を上げる要素として加点した。


監督、役者、脚本、映像、編集、
全てにおいてオリジナリティ、エンタメ性など
高いレベルで散りばめられていると言うことで、
現状2014年度ベストの得点を獲得した作品となった。
※ちなみに現状2位は『ディス・コネクト』(85点)

ただ、この映画はわりとクセが強いというか、
そもそも長いし、よくわかんないし、って要素が無くも無いので、
単純に映画を軽い気持ちで楽しみたいというカップル系にはお薦めしません。







2014年11月17日月曜日

映画『SOMEWHERE』77点



2010年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
DVD観賞。

ソフィア・コッポラ監督自身の幼少時代の思い出から
着想を得た映画らしいが、秀作。
今回も終始洒落た演出を見せたコッポラ
















近作の『ブリングリング』(75点)より質が高い。

その所以は、
彼女の作品の真骨頂でもある「メタファー」が、
より高度に、かつ存分に発揮されている点。


特に印象深いシーンは、冒頭数分間、定点カメラで
主人公である売れっ子俳優が自家用車の高級スポーツカーで
ただひたすらに同じコースを回り続ける様子をおさめたシーン。

これがタダひたすらに長い。ホントに長い。

最初何のこっちゃと思うが、実はこのシーンこそ、この映画の神髄。















これは彼のルーティン化された退屈で空虚な日常を
メタファーを用いて表現したものだと思われるが、

その行き着く先は、エンディングにおける
メタファー的な彼のドライビングシーンで完成される。

ネタバレって程では無いが、コッポラのドヤ顔が目に浮かぶほど
オープニングとは美しく対照的なエンディングにご注目。



そしてこの映画の魅力をさらに高めているのが、
ダコタファニングの妹、エルファニング。可愛い。
そして抑圧された演技も素晴らしい。















そして何よりも、全く作風の違うタランティーノが
審査員長として絶賛して、金獅子賞を与えたらしくて逆に彼を見直した。

映画『ありえないほど近くて、ものすごくうるさい』78点





DVD観賞。良作。

オスカー役の子供が素人とは思えない愛すべき怪演。
サンドラブロック、トムハンクスというハリウッドを代表する
二大俳優の存在感すらも凌ぐ、彼だけでも見る価値のある映画だ。

そして彼の良さをさらに増長させる音楽が最高に良い。

個人的にはラストシーンが印象的。
オスカーが会った人達に手紙を書いて朗読するシーン。泣ける。

「何もないより失望した方がずっと良い」
こんなこと言える子供はもやは子供では無いけど、しびれる台詞でした。
観て損はしない、正に良作。

2014年9月24日水曜日

映画『ドミノ』60点だけど80点





2005年、トニー・スコット監督の作品。
実在した元モデルの女バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)、
ドミノ・ハーヴェイの自伝的映画。


これは、私的映画ベスト10に食い込む作品。
だが、万人には薦めない、そんな映画。
なぜ死んでしまったんだトニー・スコット。























始めから終わりまでカット割り細かすぎ、画面加工しすぎ、オシャレすぎで
画面に酔いそうになるっていうか、絶対に酔うけど、そんなの関係ない。

ここまで徹底してやりきってくれるのであれば逆に潔い。

そんな激しさは画面だけにとどまらず、
場面転換も激しすぎて脚本が圧倒的に雑に見えるし、
ストーリーもほとんど頭に入ってこないけど、やっぱりそんなの関係ない。


何よりもキーラ・ナイトレイが最高にクール。
一気に大好きな女優の一人になった。











トータルして客観的に見ればというか、
世間的な評価はすこぶる低いこの映画だが、
映像に携わる人間として人生に刻まれる映画になりました。

つまり編集のスタイリッシュさとキーラのクールさで+20点くらいの映画。

この映画のDVD片手に、
編集に臨むことを欲したくなった僕は迷わずAmazonで1クリック。

改めてトニースコット師匠に合掌。

2014年8月20日水曜日

映画『GODZILLA ゴジラ』55点


2014年8月20日観賞。


98年にローランド・エメリッヒによってリメイクされた
ただのトカゲ怪獣化した「ゴジラ」よりは、はるかに「ゴジラ」だったが、
個人的には全く持って評価しがたい映画だった。
これは誰が見てもゴジラでは無い
















小学生の頃から欠かさずに親と映画館に観に行くほど好きだったゴジラ。

実際に詳細なストーリーは覚えていないし、
なぜ好きか?と聞かれると、感覚的な「好き」という感情しか残っていない。

だけど、そんなおぼろげな記憶の中でも確実に脳裏に刻まれていたのが
「何かもの悲しい」、「人間のエゴが生んだ悲劇の怪獣」という印象だ。


それはやはり、ウルトラマンなどの特撮ヒーローが持つ「正義の味方」という
世界観とは一線を画す、「水爆大怪獣」という人類へのアンチテーゼとして
現れたゴジラという設定が強く印象付いていたと言うことだろう。


知らない人のために書いておくと、ゴジラの起源は以下の通りだ。

「南方の孤島・ラゴス島に生息し続けていた恐竜ゴジラザウルスが
ビキニ環礁の水爆実験で発生した放射性物質を浴び怪獣化した」



前置きが長くなったが、今回のハリウッド版ゴジラが圧倒的にダメなのが
この「世界観」を形成できていないという点だ。


たしかにゴジラファンだという監督ギャレス・エドワーズは、
原作のゴジラと遜色ない、現在のCG技術を駆使してむしろ
より洗練され迫力のあるゴジラを作り出してはいる。

スクリーンに現れたときは普通に興奮した













だが、小学生の自分ですら感じることが出来た
哀愁すら感じるゴジラの世界観はこの映画には存在しない。
単なるハリウッドお決まりパニックムービー化しているのだ。


陳腐な恋愛劇は全く持ってストーリーを補強するに至っていないし、
渡辺謙の立ち位置は終始意味不明だし、
相変わらずハリウッド映画の日本の描き方は辟易とするし、
あんな寺子屋みたいな家に我々は住んでいませんし、
一番大切なゴジラの戦闘シーンまでの振りが長すぎる割に意味を成してないし、
と、物語全体に評価の要素は見当たらない。


ただダメ出しばかりするのも気が滅入るので言っておくと、
やっぱりゴジラが放射熱線を吐き出す前に背中が光り始める時の
ワクワクドキドキ感は小学生の自分を思い出すことが出来た。
良い画像が無かった…残念











だけど、そんな醍醐味である戦闘シーンもやはり何か消化不良気味で、
同じく日本特撮ものをベースにした『パシフィック・リム(75点)』の方が
圧倒的に全てのバランスが整っている映画だった。


というわけで、全世界的に記録的なヒットをしている中で、
日本ではさほど興行収入が伸びていないのは、
「日本発」の社会風刺的世界観を踏襲し切れていないハリウッド大作への
「日本人なりの」抵抗の現れなのだろうか。




2014年7月27日日曜日

映画『her/世界でひとつの彼女』77点


2014年7月27日観賞。

鬼才スパイク・ジョーンズ最新作。

信者の多い監督だが、この作品の評価は軒並み高く、
批評家支持率は94%、平均点は10満点中8.5点、
さらにアカデミー賞5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞している。


というわけで、それなりにハードルを上げての観賞になったわけだが、
なるほど確かに、新たな「SF映画」の金字塔と言っても過言ではない、
スパイク・ジョーンズ炸裂の恋愛SF映画だった。


正直僕は特に好きでも嫌いでも無いスパイク・ジョーンズ作品だったが、
その完成度は中々のもの。


一見チープなSFになりかねない

近未来のロサンゼルスを舞台に、コンピューターの音声アシスタントに
心を抱いた男を描いたラブストーリー


という設定を、非常にレベルの高い細かな演出やCGを効果的に散りばめ、
色彩豊かで美しいセンスフルな映像世界を構築し、
PCの声はスカーレット・ヨハンソン。良い味出してた。

妙にリアルで饒舌な謎のキャラ。劇場の笑いを誘っていた。


































あたかもこんな近未来って目の前にもうあるんじゃ?
これは新たな非リアの恋愛形態を描いているかもしれない!と思わせるのは流石。


主人公を演じるホアキン・フェニックスが生きる現実世界には、
超美人の奥さんルーニー・マーラエイミー・アダムスがいるのに、
あまり登場しないが哀愁漂う存在感は流石。
でもなぜ離婚したのかよくわからず。

この見た目で39は驚く。

































見向きもせずに、人工知能を持ったコンピューターとの恋愛に明け暮れる。


愛する妻(ルーニー・マーラ)との離婚で傷つき、
孤独に耐えられないメンタル状況で、本来頼るべきは、
エイミー・アダムスが演じた「友人」であったり、「家族」であったり、
そういった自分以外の他者=人間である。

そんなことは、人類誕生以来、疑いすらもしない、もはや「事実」と
呼ぶことすら憚られる自明の真実であったはずだが、
もはや時代はその常識を覆す時代に近づきつつあるのだ。
と思わせるに充分な世界観を構築するスパイク・ジョーンズ。


自分の傷を癒やすのは、生身の「人間」でなくても成立してしまう。
それが人工知能OSサマンサだ。

傷ついた主人公は、サマンサに出会ってから、
右耳にイヤホンを付け、目の前には「実体」が見えない相手に対し、
「人間」には見せない喜怒哀楽を見せ始める。

サマンサとの会話に幸せそうな笑顔














それらのシーンを見させられ、本来感じるべきは、

街中でスマホを耳にかざさずに、イヤホンしながら楽しそうに
会話する人を見るときに感じる多少の気持ち悪さを十倍くらいにした
気持ち悪さのはずなんだけども、この映画にそれほどの気持ち悪さは無い。


なぜなら彼はとても幸せそうだからだ。
生身の人間とふれあうよりもずっと。
生身の人間とセックスするよりも数十倍気持ちの入ったセックスをするのだ。
相手は声だけなのに。


少し話を脱線させるが、スパイクジョーンズの前妻ソフィア・コッポラが、
旦那と一緒に来た東京で置き去りにされた体験をもとに
『「ロスト・イン・トランスレーション』を撮ったと言われている。
この映画の主人公がスカヨハであるのも暗喩的























ロストイントランスレーションが、
スパイクジョーンズによって孤独を感じさせられた
ソフィアコッポラの気持ちを描いた映画だとすれば、
『her』は、スパイクジョーンズの心模様を代弁させた映画にさえ見えてくる。


そんな主人公がこの映画の最後に辿り着く場所は…映画を観て確認して欲しいが、
幸せ全快に見えていたOSとの恋愛が映し出す恋愛は、
果たして本当に「幸せ」なのか?
未来における人間の「恋愛」として成立すべきなのか?

そんなことを考えさせられる秀作でした。


ただ、声だけのセックスシーンと、
「声」を利用してこんな方法のセックスがあるんだ!
って思わせるシーンが無駄に長い感じは、
スパイク・ジョーンズの鬼才変態っぷりを感じるに十分な尺でした。


2014年7月6日日曜日

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』77点


2014年7月6日鑑賞。


「天才」「もう一人のアンダーソン」ウェス・アンダーソン監督作品。


確かに、この人にしか撮れない映画という作品。
何か美しい絵画を美しい美術館で何枚か見せられたような、
そんなファンタジックでアートな映画。

つまり、逆に言えばこの映画は、アートとして、美術として見る映画であって、
観賞後に何か心にずっしりくるだとか、考えさせられたりとか、そういう映画ではない。

随所に可憐な色使いが散りばめられた幻想的な世界観はとても美しい。
















色遣いのセンスは抜群。勉強になります。














また、ミステリー映画としても非常にコンパクトにまとまっていて、
映像美とともに最後まで飽きずに観ることができる。


さらに随所に織り込まれるコントチックな笑いも小気味いい。
だが、映画館全体も笑いに包まれているのを見ていて、
この類の笑いを作り出す技術や洗練度合いでいうと、
「日本のコント」というのは、やはり一つ別の次元に来ていると思った。

個人的な話になってしまうが、自分がこの業界に入る絶対的な要因となっている
「ごっつええ感じ」のコント
(以下、大好きな「しょうた!」今のテレビでは絶対に放送できない…)や、



ウッチャンやさまぁ~ずやバナナマンや、一線で活躍する芸人が織りなす
「コント」はもはや、欧米の映画が繰り出す「コント的笑い」の質を
当の昔に飛び越え、その1つも2つも上の笑いを提供している。
(以下、バナナマンの最高傑作ともいえるコント)



だから、何が言いたいかというと、
そういう人たちにそんな映画を撮ってほしいということだ。

そんな結論でこの映画のレビューを終えたい。