注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2015年2月16日月曜日

映画『フォックスキャッチャー』80点


2015年2月15日観賞。


今年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、
アカデミー賞でも5部門にノミネートしている作品。


監督のベネット・ミラーは、
『カポーティー』やブラピ主演の『マネーボール』が有名だが、
ドキュメンタリー出身の監督らしく、
実際に起きた事件を徹底して静かに淡々と描ききった秀作だった。


その実際に起きた事件というのは、

1996年にアメリカで起こった
デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンによる
レスリング五輪金メダリスト射殺事件

というもの。



とにかくこの映画の特徴は、先述した通り、
実際に起きた事件を、大衆映画らしい大団円や脚色を一切排除し、
徹底的に淡々と描ききっていると言うこと。

そしてもう一点は、が登場人物を通して
「人間の愚かさ」が凝縮されているという点だ。


その愚かさをいくつか紹介すると、まずは「金持ちの愚かさ」。
スティーヴ・カレル演じるジョン・デュポン。
この演技が正にアカデミー賞級のインパクト。
ずっとこんな顔してるデュポン
















写真見返すだけでもゾッとするほどのクソ御曹司っぷり炸裂で、
「狂気の沙汰」という言葉しか見当たらない。

金に物言わせる&人を見下す=友達いない&マザコン・・・
有吉さんに良いあだ名見つけて欲しいくらいクソ人間要素の宝庫。

超通俗的感想だが、「金持ってれば良いってもんじゃないな」って
この映画のデュポンが証明してくれている。


で、このクソ人間の金に物言わせる感に見事に引っかかるのが
体育会系筋肉バカのチャニング・テイタム演じるマーク・シュルツ。

ロス五輪のレスリングで金メダルを獲得したのに金が無い。
インスタントラーメン食って次のオリンピックに備える。
そんな貧乏な金メダリストに目を付けたのがデュポン。

大豪邸に招かれ場違い感が凄いシュルツ
















お前のスポンサーになってやるぜ的なデュポンに
「最高だ!この人最高だよ!やっと俺のことわかってくれる人が!」
ってな具合に瞬間的に心酔してしまう。

そんな役を演じたチャイニング・テイタムの演技も見事なモノで、
ゴリラみたいな歩き方したり、
お前脳みそ筋肉かよ!って突っ込みたくなるような言動を見せる。

で、それを見下してコントロールしながら、デュポンさん最高です!
って言わせるデュポンという構造。

で、そんな構造からなぜ殺人事件に至ってしまうのか?
そこ説明しちゃうとこの映画を観る動機を無くしてしまうので書きません。


ただ言えることは、この映画はとても怖いです。
基本的に静かな映像が淡々と流れるので、
デュポンの狂気じみた顔や所作の怖さが倍増する効果を持っているし、
鼻でかいな・・・と思ったら付け鼻らしい!
















チャイニング・テイタム演じるシュルツの兄貴役のマーク・ラファロ
めちゃくちゃ演技上手いし、何よりこの映画唯一の正義を感じさせる
救いの役割にも成っているし、
映画全体としてとてもレベルの高い作りになっていると思いました。

ただデート映画ではありません。
何せ明るい映画では無いので。

まぁカンヌが選ぶ映画って時点で大衆迎合的では無いので、
逆にこの映画見に行こうって誘ってくる女の子がいたら
それはそれで逆に何を狙っているんだと訝しがってしまう
難しい映画って言う結論で良いですかね。






2015年2月4日水曜日

映画『LUCY/ルーシー』67点


劇場で観たかったけど、DVDにて観賞。

『レオン』以降、少し映画が好きな人であればだれもが

「この人絶対才能あるんだけどな…おかしいな…」
的な監督ランキング圧倒的上位に食い込むリュック・ベッソン先生。


今回も『マラヴィータ』同様、きっとダメなんだろう…
予告動画は面白そうだけど…


なんて、なぜか少しすね気味で観賞スタート。


設定としては、「人間の脳は、10%しか機能していない」
っていう大命題がまずあって、

スカヨハちゃん演じるルーシーが、わけのわからん状況に巻き込まれ、
10%を100%まで機能させる薬を体内に吸収したことによって
とんでもない人間に変貌して、
「おっす!おら悟空!」並みの強さを手に入れ、大爆発!
最強感の割にはちょっと太くない?って感じが逆に良い















って映画。


感想の結論から言うと、個人的には

「リュック・ベッソンって(良い意味で)超バカじゃん!」

「超バカ」って感想は、ネットで少し検索すれば出てくる
この映画に対する賛否両論の否にも当てはまる部分はあるんだけど
きっと彼の脳みそを総結集させると、こういう映画が出来上がるというか、
こういう映画を作りたいんだなと。
こんな風に他人の携帯電話の会話を聞き取ることが出来ます
そこに「なぜ」という解説はゼロっていう逆の爽快感














レオン的な哀愁漂うハードボイルドではなく、
こういうハチャメチャな、ある意味コメディにすら見える
アクションムービーを作りたいんだなと。
だからこの映画を見終わって、ある意味
「これぞリュックベッソン!」って映画なんじゃないかこれは!
と思い始めてもおかしくないくらい突き抜けた作品になっている。
こんな風に人を浮かせることも出来ます
そこに説明は一切ありません












とはいえ、『taxi』シリーズで腕を磨いた
カーチェイスシーンは、やっぱり世界最高レベルと言っても
過言ではない緊迫感と迫力だし、
スカヨハちゃんの何とも言えないキックアス感も良い味出してた。


でも一番笑えたのは、いや、面白かったというべきか、
「人間の脳は、10%しか機能していない」っていう
この映画の根幹となるテーマへの学術的アプローチ。

モーガンフリーマンがそれに関する権威的な学者を演じてるんだけど、
大学で講演するシーン「冒頭」あたりは、















「ほうほう、なるほど。人間より脳を使ってるのは唯一イルカなのね…」

と、観ているものを「それなりに」世界観に引き込む説得力を持つ
展開を見せつけてくるのだけれど、その展開は早々に挫折する。

挫折してないのかもしれないけど、途中からなんかめちゃくちゃになる。
突っ込みどころ多すぎて、芸人ですら突っ込みを放棄したくなるほど
破天荒な展開に、疑問に思う俺がバカなのか?と思うほどベッソンは突き進む。


そこで思うのは、
リュックベッソンがバカなのか、それともリュックベッソン的には
「そんなの関係ねー!」というスタンスなのか?


最近見た『インター・ステラー』の、正解がどうか全くわからないけど、
とりあえず最新学説盛り込みまくってます!どや!に
結局負けて、何となく分かった気になって観賞続行!みたいな世界観には
到底及ばない説得力の無さ、設定の無茶苦茶度合がずば抜けている。
で、設定や脚本って言うのはそこまで行ききると、
もはや面白くなるわけだけど、
その面白さの方向が向かう先はコントにしか見えない。


賛否の「否」を言う人たちは、きっとこのコントブロックへの嫌悪感だろう。
だって全く支離滅裂で納得感ゼロだから。


でも個人的にはリュックベッソン好き勝手やってるなー感を
思う存分感じられて、逆に好感を持てた。


だから実際映画の完成度とか脚本の綿密さとか言い出すと
50点くらいの作品なんだろうけど、
個人的にはリュックベッソンってホントバカだな!最高だわ!
89分って言う尺も最高!
でももっと短く出来るよベッソン!あの後半の人類の起源的なCGいるの?

って結局最後まで突っ込み所満載のベッソンはちゃめちゃ映画は意外と面白いぜ!
って意味でこの点数に落ち着きました。