注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2016年2月20日土曜日

映画『オデッセイ』90点

2016年2月14日鑑賞。


思ってた以上に最高だった。
巨匠リドリー・スコットが78歳を迎えてまた一つ素晴らしい作品を完成させた。

話としては『ゼロ・グラビティ』的で、
火星探査チームの一人、マッド・デイモン演じるマーク・ワトニーが
任務中の天候不良によって火星に一人取り残される。















・残りの食料は1ヶ月分

・次に宇宙船が火星に来るのは4年後

という『ゼロ・グラビティ』のサンドラ・ブロックも頭を抱える程の絶望的状況。


こんな絶望的状況からどんな展開を予想するだろうか?
普通に考えると

まずテンパって、イラついて、絶望して、少しだけ光が射して、
と思ったらまた絶望して、それでも家族のために・・・
なんてことが渦巻きながら、極限状態の中で人間のありとあらゆる本質が・・・

みたいなドロドロ感満載の高カロリー映画を予想している自分がいた。


ところがどうだ。


映画開始数分で絶望的状況に追い込まれるマッド・デイモンは、
残りの140分弱、火星という地球から数億キロも離れた惑星に
取り残されているにもかかわらず、ずっと“ポジティブ”なのだ。
ポスターに使われているこの顔もよく見たら余裕すら感じる。
ジャガイモ作るビニールハウスを完成させて雄叫び!






























劇中に流れる音楽も含めて全てがポジティブ。
一人でカメラ目線で小粋なジョークすら口にし、
絶望的状況を前に、どんなときでも挑戦的、時に挑発すらするのだ。
「火星よ、俺の能力、舐めるなよ!!」と。

TOKIO顔負けのサバイバル能力。なんと火星でジャガイモ繁殖。














序盤からあまりにもポジティブすぎて、スリルが足りなさすぎないか?と
見ていて不安だったが、あるところからそのポジティブさが心地よくなってくる。

それはなぜかというと、我々が生きる現実世界においても
当たり前と言えば当たり前なのだが、
絶対的不利な状況、絶望的状況、窮地を打破・打開するのは、
結局“知識”と“アウトプット”と“ポジティブさ”と、
少しの“ユーモア=余裕”なのだ。
彼の専門は植物学者。ていうか宇宙飛行士って能力半端ない。














だから、どうひっくり返っても火星で芋作れない俺はまだまだです。


そして、この映画は誰も死なない。
こういう類いの映画で誰も死なないって言うのは、かなり勇気のいる展開で、
フィクションにおける「死」は、良くも悪くもスリルと感情移入を生む。
でも78歳の大先生はそんなものには頼らない。


むしろ一見少し恥ずかしくなるような「仲間」の熱い絆や
自分たちの命の危険を去らしてでも彼を助けると決めた仲間達。













現実世界ではあり得そうも無い中国の協力や、
全世界がマッド・デイモンの生還を祈る構図など、
とにかく映画全体がポジティブで前向きに進行する。
で、そのまま気持ち良くフィニッシュするので、とにかく気持ちが良い。


個人的には『ゼロ・ダーク・サーティー』の時と変わらず
常に正しく、冷静でクールなジェシカ・チャステインも最高だった。


















世知辛さ満載で、殺伐とした世の中に正面切って全力で逆走する
スーパーポジティブ映画、皆さんも是非劇場で。



2016年2月17日水曜日

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』採点不能


時代の流れに取り残されてはいけない!ということで観ました。

が、私にはこの映画を評価する資格がありません。
っていうくらい、

巷の人達がワクワクして、興奮して、批判したり、絶賛する、
そんな土俵には決して上がれない程の知識ってことを
観賞し始めてから気がつきました。

さらに良くなかったのが、うちの親父がTwitterで

スターウォーズがつまらないのは、
宇宙の果てまで行っても、親子問題に終始すること。

と、つぶやいたのを観てしまったこと。
そう言われればそうだけど・・・的な、
ファンの方々激怒必死の真理?が邪魔して楽しめませんでした。
未熟でごめんなさい。

ていうか、そもそもこういう映画を楽しめる人間じゃ無いのかな俺は。
色んな意味で何か寂しい気持ちになった。

2016年2月6日土曜日

映画『ブリッジ・オブ・スパイ』88点



個人的には相当久しぶりのスピルバーグ作品だったが、
相変わらずというか、さすがというか、非常に完成度の高い映画だった。


完成度が高い、と言ってしまえば一言なんだけど、
つまり、欠点がほとんど見当たらない映画というのか鑑賞後の率直な感想。

笑いあり、スリルあり、学びあり、感動あり、最後は泣けるという
「やっぱスピルバーグってすげぇわ!」
という、映画として最高品質の作品になっていると思う。
普通に観た方が良い映画だ。

そしてトムハンクスが素晴らしいことは言うまでも無いのだが、
何よりもソ連側のスパイ ルドルフ・アベルを演じた
マーク・ライランスが圧倒的に素晴らしい。
トムとライランス。この何とも言えない表情が良い。
















じゃあなぜ88点なのかというと、これはもう個人的な好みの問題であって、
自分のような映画素人クソ野郎的には、
「完璧すぎて逆に刺激が無い」という、謎のニヒリズム的感想を持ってしまい、
たぶんスピルバーグはあえてやっているに違いない、
「こんな良いタイミングでこんなこと起きる!?」的なフィクション感に
少し冷めてしまったりした。

でも何度も言うようにこの映画はとても良い映画だし、面白い。
ただデビット・フィンチャー最高芸人としては、
毒不足でキレイすぎる映画に満足できないという・・・

とはいえ、
「なんかスピルバーグにしては小粋なコント的笑いが多いなぁ」
と、思っていたら脚本がコーエン兄弟だったりと、
やっぱり改めて相当質の高い映画であることは間違いないわけで、
笑って、ドキドキして、泣けるこの映画、皆さん是非、ご覧下さい。




2015年12月20日日曜日

映画『007 スペクター』72点


2015年12月20日鑑賞。

昨年末に見たが、ずっと書けていなかった。


簡潔に感想だけ言うと、
個人的には前作の『スカイフォール』の方が面白かった。

では何がどう前作の方が面白かったかを説明するには、
そもそも前作の何が面白かったかを整理しておく必要がある。


監督は前作に引き続き、『アメリカンビューティー』で、
アカデミー監督賞、ゴールデングローブ賞 監督賞を受賞したサムメンデス。
ケイトウィンスレットと離婚協議中らしい。















まず、『スカイフォール』の監督がサムメンデス?
え?そっち系の監督でしたっけ?って感じになった記憶が鮮明にあって、

アメリカンビューティーって映画は、ご存じの方も多いだろうけど、
超シュールで痛烈にアメリカ社会を皮肉ったコミカルな作品で、
その後、『ジャーヘッド』とか戦争映画は撮っているものの

「007に見合うスーパーアクションシーンとか得意だっけ?」

って疑問は相当あった。


ところが彼はその疑問を見事に吹き飛ばす可憐なアクションシーンと
サムメンデスらしい人間の暗部を巧みに描く重厚な脚本で、
シーズン史上最も「人間らしい」ボンドを作り上げた。
















そこにいるダニエルグレイグ演じるボンドは、
『カジノロワイヤル』や『慰めの報酬』には無かった
人間としての葛藤、弱さを見せるボンドだったのだ。

個人的にはそんな作品全体のどよーんとしながらも
美しさと格調を保っている感じが好きだったんだけど、

「なんだこれ!暗すぎる!こんなのボンドじゃ無い!」

なんていう、オールドファンの批判にさらされまくったサムメンデス。


こういうシリーズものって恐らく何をどう作っても、
あーだこーだいわれる宿命なんだろうけど。

前振りが長くなったが、
今作はそんな批判されまくったサムメンデスが

超悪くいうと「迎合した」、

さほど悪くいわないと「調和した」「バランスを取った」

作品に落着いてしまったと感じたのだ。


今作にはオールドファンを刺激する
数々のオマージュポイントがあったらしいが、
自分はオールドボンドを知らない無知な鑑賞者なので、
作品内に散りばめられた「あーここにそんなの入れてくるの?」
みたいな興奮ポイントは見つけられなかったし、
そんな昔から見てる人に合わせる必要があるのかメンデス!!
って気持ちになってしまった。


これぞ悪役!っていうクリストフ・ヴァルツも、
演技力はそりゃ申し分ないんだけど、なにせ小さいからあまり怖くないし、
想像以上にあっさり負けちゃって拍子抜けした。













ボンドガールのレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』で
スピルバーグも絶賛のR-18衝撃的ベッドシーンを演じた実力派。
















ボンドガールのわりに強すぎるとか何とか言われてるみたいだけど、
美しさの中に常に悲しみや哀愁が潜む表情が
個人的には結構好きでした。



とはいえ、映画全体はエンターテイメントに溢れ、
退屈無く見れることは間違いが無いので、観て損は無いと思います。
ただメンデスはメンデスを貫いて欲しかったなぁと。



2015年10月24日土曜日

映画『キングスマン』78点


2015年10月18日鑑賞。

名作『キック・アス』の監督マシュー・ボーンということで、
自然とハードル上げ目での鑑賞スタート。


相変わらずこの監督は、
アクションシーンをダイナミックかつ美しく撮影するのが抜群に上手い。

『英国王のスピーチ』で、
アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースが
まさに英国紳士!!
という洗練されたトムフォード的スーツに身を包むスパイなわけだけど、












「最近のスパイ映画はシリアスすぎる」的な台詞が
本編内に差し込まれてることに象徴されているように、
全編通して「シリアス」ではなく、
「あり得ない」=「フィクション」なスパイ映画が展開される。


その極地は終盤の『威風堂々』に乗せたあのシーンに間違いないわけだが、
流石にネタバレになるので伏せます。


たぶんこの映画ってイギリス?欧米において増え続ける下流層の若年層や
それらの原因となり、それらを搾取する巨大企業やら、
そんな現代の社会情勢を反映した映画なんだろうけども、
あまりそういう思想的な視点でこの映画を観ても、
本当に楽しめない感じがしていて、

なんかアクション&スパイ映画としては、
古典的というか、さほど新しいストーリー性や展開はないんだけど、
なぜか新しく見えるアクションや、
「あり得ないっしょ」って笑いたくなる殺戮シーンは、
これが“あのシーン” まさにワロタ














キック・アスから始まる「ポップに人を殺す」という、
映画でしか出来ない究極の表現方法を極めようという
マシューボーンの姿勢に拍手を送りたいと思いました。




2015年8月29日土曜日

映画『ナイト・クローラー』82点


2015年8月29日鑑賞。

大好きな俳優ジェイク・ギレンホールの作品と言うことで観てきました。

事件や事故現場に急行して捉えた映像を
テレビ局に売る報道パパラッチとなった男が、
刺激的な映像を求めるあまりに常軌を逸していく。

という話なんだけど、とにもかくにもギレンホールが最高。

とにかくギレンホールが演じた主人公は、とにかくクズでクズでクズ過ぎて、
人間のクズという言葉以外出てこないくらいクズで、
何も感情移入が出来なくて、最後まで胸くそ悪い。
役作りで相当減量したらしい。目が飛び出しそう。














でも、主人公はどんどん成功を掴んでいく。
クソみたいな行動を続けるのに。

クソみたいな奴って普通映画では痛い目を見たり、
死んだり、罰せられてカタルシスを得られるんだけど、
そうでは無いのが、この映画の素晴らしいところ。
この画像だけでまともな人間で無いことが分かる。
















しかも何かわからないけど、この映画を観ていて、
不思議とストレートにこのクズ人間を否定できない気持ちになる。

それは同じ業界で働く人間として、耳が痛い!ってことではなくて、
このクズを作り出している、クズがクズとして行動する源泉は
こいつの性格が元々クズなのでは無く、
主人公を取り巻く環境や人間が彼をクズたらしめているということ。

そういうダークな部分を完璧に貫いて描ききった、
ある意味「気持ちが良い」後味の悪い映画でした。


2015年7月5日日曜日

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』80点


2015年7月5日鑑賞。

久しぶりに少しだけ時間が空いたので、
会社の隣のTOHOシネマズに行ってきた。


個人的にこの映画は、
特にドヤ顔で分析したり、四の五のご託を並べる必要が全くない。


ジャンルは違えど、
敬愛する小説家の阿部和重が『グランド・フィナーレ』で芥川賞を受賞した際に、
これまた敬愛する作家であり、芥川賞選考委員の村上龍が講評で、

わたしは阿部氏の作品を推した。
その理由はただ一つ、
小説にしかできないことに作者が挑戦しているように感じたからだ。

と、述べたわけだが、

この『マッドマックス』も同様のことが言える、そう感じた。


つまり、

「映画にしか出来ないことを究極に突き詰めた作品」である。

ということだ。


『ゼロ・グラビティ』が“世界最高峰のCG技術”を駆使した
「映画にしか出来ないことを突き詰めた究極」であるとするならば、

『マッドマックス』は、“世界最高峰の実写&撮影技術”で、
映画の究極を突き詰めている。


これどうやって撮ったの?











30人くらいスタントマン死んでない?









そんな心配をよそに、そんなシーンの連続で物語は全速力で進んでいく。


この映画は心休まる、やや退屈なシーンが10分くらいしかない。
気を抜ける瞬間がほとんど無く、アドレナリンマックス状態が120分間続く。

だからエンターテイメントとしての「映画」としても
非常に高いレベルで成立しているし、
R-15だけど、カップルで見ても気まずくなる映画では無い。

もちろんトム・ハーディーもシャリーズ・セロンも最高に格好いいが、
















とにかくこの映画は、まずは映画館で映像・音を体感すべきです。