2015年12月20日鑑賞。
昨年末に見たが、ずっと書けていなかった。
簡潔に感想だけ言うと、
個人的には前作の『スカイフォール』の方が面白かった。
では何がどう前作の方が面白かったかを説明するには、
そもそも前作の何が面白かったかを整理しておく必要がある。
監督は前作に引き続き、『アメリカンビューティー』で、
アカデミー監督賞、ゴールデングローブ賞 監督賞を受賞したサムメンデス。
ケイトウィンスレットと離婚協議中らしい。 |
まず、『スカイフォール』の監督がサムメンデス?
え?そっち系の監督でしたっけ?って感じになった記憶が鮮明にあって、
アメリカンビューティーって映画は、ご存じの方も多いだろうけど、
超シュールで痛烈にアメリカ社会を皮肉ったコミカルな作品で、
その後、『ジャーヘッド』とか戦争映画は撮っているものの
「007に見合うスーパーアクションシーンとか得意だっけ?」
って疑問は相当あった。
ところが彼はその疑問を見事に吹き飛ばす可憐なアクションシーンと
サムメンデスらしい人間の暗部を巧みに描く重厚な脚本で、
シーズン史上最も「人間らしい」ボンドを作り上げた。
そこにいるダニエルグレイグ演じるボンドは、
『カジノロワイヤル』や『慰めの報酬』には無かった
人間としての葛藤、弱さを見せるボンドだったのだ。
個人的にはそんな作品全体のどよーんとしながらも
美しさと格調を保っている感じが好きだったんだけど、
「なんだこれ!暗すぎる!こんなのボンドじゃ無い!」
なんていう、オールドファンの批判にさらされまくったサムメンデス。
こういうシリーズものって恐らく何をどう作っても、
あーだこーだいわれる宿命なんだろうけど。
前振りが長くなったが、
今作はそんな批判されまくったサムメンデスが
超悪くいうと「迎合した」、
さほど悪くいわないと「調和した」「バランスを取った」
作品に落着いてしまったと感じたのだ。
今作にはオールドファンを刺激する
数々のオマージュポイントがあったらしいが、
自分はオールドボンドを知らない無知な鑑賞者なので、
作品内に散りばめられた「あーここにそんなの入れてくるの?」
みたいな興奮ポイントは見つけられなかったし、
そんな昔から見てる人に合わせる必要があるのかメンデス!!
って気持ちになってしまった。
これぞ悪役!っていうクリストフ・ヴァルツも、
演技力はそりゃ申し分ないんだけど、なにせ小さいからあまり怖くないし、
想像以上にあっさり負けちゃって拍子抜けした。
ボンドガールのレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』で
スピルバーグも絶賛のR-18衝撃的ベッドシーンを演じた実力派。
ボンドガールのわりに強すぎるとか何とか言われてるみたいだけど、
美しさの中に常に悲しみや哀愁が潜む表情が
個人的には結構好きでした。
とはいえ、映画全体はエンターテイメントに溢れ、
退屈無く見れることは間違いが無いので、観て損は無いと思います。
ただメンデスはメンデスを貫いて欲しかったなぁと。
0 件のコメント:
コメントを投稿