注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2016年2月6日土曜日

映画『ブリッジ・オブ・スパイ』88点



個人的には相当久しぶりのスピルバーグ作品だったが、
相変わらずというか、さすがというか、非常に完成度の高い映画だった。


完成度が高い、と言ってしまえば一言なんだけど、
つまり、欠点がほとんど見当たらない映画というのか鑑賞後の率直な感想。

笑いあり、スリルあり、学びあり、感動あり、最後は泣けるという
「やっぱスピルバーグってすげぇわ!」
という、映画として最高品質の作品になっていると思う。
普通に観た方が良い映画だ。

そしてトムハンクスが素晴らしいことは言うまでも無いのだが、
何よりもソ連側のスパイ ルドルフ・アベルを演じた
マーク・ライランスが圧倒的に素晴らしい。
トムとライランス。この何とも言えない表情が良い。
















じゃあなぜ88点なのかというと、これはもう個人的な好みの問題であって、
自分のような映画素人クソ野郎的には、
「完璧すぎて逆に刺激が無い」という、謎のニヒリズム的感想を持ってしまい、
たぶんスピルバーグはあえてやっているに違いない、
「こんな良いタイミングでこんなこと起きる!?」的なフィクション感に
少し冷めてしまったりした。

でも何度も言うようにこの映画はとても良い映画だし、面白い。
ただデビット・フィンチャー最高芸人としては、
毒不足でキレイすぎる映画に満足できないという・・・

とはいえ、
「なんかスピルバーグにしては小粋なコント的笑いが多いなぁ」
と、思っていたら脚本がコーエン兄弟だったりと、
やっぱり改めて相当質の高い映画であることは間違いないわけで、
笑って、ドキドキして、泣けるこの映画、皆さん是非、ご覧下さい。




2015年12月20日日曜日

映画『007 スペクター』72点


2015年12月20日鑑賞。

昨年末に見たが、ずっと書けていなかった。


簡潔に感想だけ言うと、
個人的には前作の『スカイフォール』の方が面白かった。

では何がどう前作の方が面白かったかを説明するには、
そもそも前作の何が面白かったかを整理しておく必要がある。


監督は前作に引き続き、『アメリカンビューティー』で、
アカデミー監督賞、ゴールデングローブ賞 監督賞を受賞したサムメンデス。
ケイトウィンスレットと離婚協議中らしい。















まず、『スカイフォール』の監督がサムメンデス?
え?そっち系の監督でしたっけ?って感じになった記憶が鮮明にあって、

アメリカンビューティーって映画は、ご存じの方も多いだろうけど、
超シュールで痛烈にアメリカ社会を皮肉ったコミカルな作品で、
その後、『ジャーヘッド』とか戦争映画は撮っているものの

「007に見合うスーパーアクションシーンとか得意だっけ?」

って疑問は相当あった。


ところが彼はその疑問を見事に吹き飛ばす可憐なアクションシーンと
サムメンデスらしい人間の暗部を巧みに描く重厚な脚本で、
シーズン史上最も「人間らしい」ボンドを作り上げた。
















そこにいるダニエルグレイグ演じるボンドは、
『カジノロワイヤル』や『慰めの報酬』には無かった
人間としての葛藤、弱さを見せるボンドだったのだ。

個人的にはそんな作品全体のどよーんとしながらも
美しさと格調を保っている感じが好きだったんだけど、

「なんだこれ!暗すぎる!こんなのボンドじゃ無い!」

なんていう、オールドファンの批判にさらされまくったサムメンデス。


こういうシリーズものって恐らく何をどう作っても、
あーだこーだいわれる宿命なんだろうけど。

前振りが長くなったが、
今作はそんな批判されまくったサムメンデスが

超悪くいうと「迎合した」、

さほど悪くいわないと「調和した」「バランスを取った」

作品に落着いてしまったと感じたのだ。


今作にはオールドファンを刺激する
数々のオマージュポイントがあったらしいが、
自分はオールドボンドを知らない無知な鑑賞者なので、
作品内に散りばめられた「あーここにそんなの入れてくるの?」
みたいな興奮ポイントは見つけられなかったし、
そんな昔から見てる人に合わせる必要があるのかメンデス!!
って気持ちになってしまった。


これぞ悪役!っていうクリストフ・ヴァルツも、
演技力はそりゃ申し分ないんだけど、なにせ小さいからあまり怖くないし、
想像以上にあっさり負けちゃって拍子抜けした。













ボンドガールのレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』で
スピルバーグも絶賛のR-18衝撃的ベッドシーンを演じた実力派。
















ボンドガールのわりに強すぎるとか何とか言われてるみたいだけど、
美しさの中に常に悲しみや哀愁が潜む表情が
個人的には結構好きでした。



とはいえ、映画全体はエンターテイメントに溢れ、
退屈無く見れることは間違いが無いので、観て損は無いと思います。
ただメンデスはメンデスを貫いて欲しかったなぁと。



2015年10月24日土曜日

映画『キングスマン』78点


2015年10月18日鑑賞。

名作『キック・アス』の監督マシュー・ボーンということで、
自然とハードル上げ目での鑑賞スタート。


相変わらずこの監督は、
アクションシーンをダイナミックかつ美しく撮影するのが抜群に上手い。

『英国王のスピーチ』で、
アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースが
まさに英国紳士!!
という洗練されたトムフォード的スーツに身を包むスパイなわけだけど、












「最近のスパイ映画はシリアスすぎる」的な台詞が
本編内に差し込まれてることに象徴されているように、
全編通して「シリアス」ではなく、
「あり得ない」=「フィクション」なスパイ映画が展開される。


その極地は終盤の『威風堂々』に乗せたあのシーンに間違いないわけだが、
流石にネタバレになるので伏せます。


たぶんこの映画ってイギリス?欧米において増え続ける下流層の若年層や
それらの原因となり、それらを搾取する巨大企業やら、
そんな現代の社会情勢を反映した映画なんだろうけども、
あまりそういう思想的な視点でこの映画を観ても、
本当に楽しめない感じがしていて、

なんかアクション&スパイ映画としては、
古典的というか、さほど新しいストーリー性や展開はないんだけど、
なぜか新しく見えるアクションや、
「あり得ないっしょ」って笑いたくなる殺戮シーンは、
これが“あのシーン” まさにワロタ














キック・アスから始まる「ポップに人を殺す」という、
映画でしか出来ない究極の表現方法を極めようという
マシューボーンの姿勢に拍手を送りたいと思いました。




2015年8月29日土曜日

映画『ナイト・クローラー』82点


2015年8月29日鑑賞。

大好きな俳優ジェイク・ギレンホールの作品と言うことで観てきました。

事件や事故現場に急行して捉えた映像を
テレビ局に売る報道パパラッチとなった男が、
刺激的な映像を求めるあまりに常軌を逸していく。

という話なんだけど、とにもかくにもギレンホールが最高。

とにかくギレンホールが演じた主人公は、とにかくクズでクズでクズ過ぎて、
人間のクズという言葉以外出てこないくらいクズで、
何も感情移入が出来なくて、最後まで胸くそ悪い。
役作りで相当減量したらしい。目が飛び出しそう。














でも、主人公はどんどん成功を掴んでいく。
クソみたいな行動を続けるのに。

クソみたいな奴って普通映画では痛い目を見たり、
死んだり、罰せられてカタルシスを得られるんだけど、
そうでは無いのが、この映画の素晴らしいところ。
この画像だけでまともな人間で無いことが分かる。
















しかも何かわからないけど、この映画を観ていて、
不思議とストレートにこのクズ人間を否定できない気持ちになる。

それは同じ業界で働く人間として、耳が痛い!ってことではなくて、
このクズを作り出している、クズがクズとして行動する源泉は
こいつの性格が元々クズなのでは無く、
主人公を取り巻く環境や人間が彼をクズたらしめているということ。

そういうダークな部分を完璧に貫いて描ききった、
ある意味「気持ちが良い」後味の悪い映画でした。


2015年7月5日日曜日

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』80点


2015年7月5日鑑賞。

久しぶりに少しだけ時間が空いたので、
会社の隣のTOHOシネマズに行ってきた。


個人的にこの映画は、
特にドヤ顔で分析したり、四の五のご託を並べる必要が全くない。


ジャンルは違えど、
敬愛する小説家の阿部和重が『グランド・フィナーレ』で芥川賞を受賞した際に、
これまた敬愛する作家であり、芥川賞選考委員の村上龍が講評で、

わたしは阿部氏の作品を推した。
その理由はただ一つ、
小説にしかできないことに作者が挑戦しているように感じたからだ。

と、述べたわけだが、

この『マッドマックス』も同様のことが言える、そう感じた。


つまり、

「映画にしか出来ないことを究極に突き詰めた作品」である。

ということだ。


『ゼロ・グラビティ』が“世界最高峰のCG技術”を駆使した
「映画にしか出来ないことを突き詰めた究極」であるとするならば、

『マッドマックス』は、“世界最高峰の実写&撮影技術”で、
映画の究極を突き詰めている。


これどうやって撮ったの?











30人くらいスタントマン死んでない?









そんな心配をよそに、そんなシーンの連続で物語は全速力で進んでいく。


この映画は心休まる、やや退屈なシーンが10分くらいしかない。
気を抜ける瞬間がほとんど無く、アドレナリンマックス状態が120分間続く。

だからエンターテイメントとしての「映画」としても
非常に高いレベルで成立しているし、
R-15だけど、カップルで見ても気まずくなる映画では無い。

もちろんトム・ハーディーもシャリーズ・セロンも最高に格好いいが、
















とにかくこの映画は、まずは映画館で映像・音を体感すべきです。





2015年4月26日日曜日

映画『セッション』75点


世間ではYahoo!のトップニュースになるほど、
映画評論家の町山氏とジャズミュージシャンの菊地成孔氏との
大論争が話題(←詳しくはクリックしてみて下さい)だが、
正直僕には町山氏ほどの映画教養もなければ、
菊地氏ほどの音楽的素養も持ち合わせていないので、
単純に、「個人的に」面白かったかどうかで採点して、感想を書きます。


これは、「プレイ」です。

予告やプロモーションでは、「究極の師弟関係」という言葉が使われてましたが、
個人的には、終始、

アンドリューとフレッチャー先生との「究極のツンデレプレイ」
フレッチャー先生怖すぎワロタ
















を見せられている気がしていた。

この映画を見て感じ取った感情はこれでしかない。


いやもちろん、この映画、確かに面白いし、
これがデビュー作とは思えないデミアン・チャゼル監督の手腕によって
各国の映画賞を総なめにし、
アカデミー賞も3部門を受賞するという快挙を成し遂げている。
助演男優賞受賞のJ・Kシモンズ!
こりゃ『バードマン』のノートンも負けるわ・・・っていうハマり役

















そこで描かれているのは、レベルの違いや種目の違いはあれど、
僕みたいな庶民でも経験した
「部活での圧倒的理不尽な監督と選手の関係性」だ。


フレッチャー先生も映画内で言っていたが、
「能力を最大限に引き出すため」「次のステージへ持って行くため」に
教え子に、罵詈雑言を浴びせ、時に暴力をも用いて「教育的指導」を行う。

それについて来れない奴は一流になれない理論。

まぁ言いたいこととやりたいことはわかる。


僕も中学と高校でサッカー部のキャプテンをやっていて、
論理的とはほど遠い理不尽な説教や言葉の暴力や体罰を受けた。
それに対して今となって恨み辛みなど全くないし、
今更クレームしたいという気持ちも全くない。

むしろ当時尾崎豊ばりに尖っていることが正義だと信じていた僕は、
納得いかない怒りをぶつけてくる顧問に対して反抗を繰り返していた。
が、あるとき、

「世の中には納得できないとしても、
 または、自分が1000%正しいケースでも、
 「はい、わかりました。すみませんでした。」と、
 非を認める(フリをする)ことで丸く収まる、または事が進むことが存在する」

ということを、それらの理不尽な監督から学んだ。


なぜなら僕が反抗すると他の選手達に迷惑がかかるからだ。
僕の尾崎豊ばりの反抗は、部活全体に「連帯責任」をもたらしていたのだ。
だから引くときは引く。
そうすればみんながやりたい「サッカー」は出来る。
僕の「個人的な納得いかない気持ち」を消せば、サッカーが出来る。

そんなことを学べたのは、あの理不尽な「プレイ」があってこそなのだ。


ということで、こんな芦田太郎の部活個人史などには
僕個人が感慨深くなるだけで、第三者からすれば
さほど興味が持てないのと同じで、
アンドリューとフレッチャー先生との「究極のツンデレプレイ」を
100分見せられたとしても、そこにカタルシスは無い。


巷で噂の「衝撃のラスト」何て特に、お互いの表情を見ていると
「究極の師弟プレイ!!!!絶頂寸前!!!!」にしか見えないわけで。
この距離感!














だから個人的には、世間の評価ほどこの映画を楽しめなかった。
なぜここまでこの映画は評価されたのか?

みんな「プレイ」を「する」方じゃ無く、「見る」方が好きなの?






2015年4月19日日曜日

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』92点



「意味わかんないだけど」


観賞後、前に座っていたヤングな女性が乾いた声で言い放った。


そんな彼女の背中を綿谷りさばりに、蹴りたい。
っていうのは嘘だけど、

「意味なんてわからなくて良いのだ!この映画は!」
と、背中ごしから言いたい。


でもきっと彼女はこういうだろう。


「じゃあどこが面白いの?」


いや、そもそも2時間近くワンカット長回しでとってるとかあり得ないから!
あの撮影どれだけ大変かわかってんの?
イニャリトゥ監督がすべてのシーンで、
俳優の顔の向き、動作も事前に決めて1発勝負で撮影してんだぞ!
革新的撮影監督エマニュエル・ルベツキ!
『ゼロ・グラビティ』もこの人。

















「それってスゴいのもしれないけど、話の面白さと関係ないじゃん…」


いや、バカ!
マイケルキートンが落ちぶれたアメコミ俳優っていうパロディから始まり、
随所でアメコミを全力でバカにした感じとか、
映画業界全体、それを批評する批評家にすら全力で中指立ててる感じとか、
エドワード・ノートンが個性派俳優過ぎて成立してない人格破綻者だったり、
ナオミワッツが演技力あるのに全く売れない女優で、しかもレズって設定とか、
名作『マルホランド・ドライブ』のパロディってわかんなかったの?
この人にさえない女優の役やらせて右に出る者いるの?














「わかんないし…そもそも興味ないし…そもそも結末なにあれ?」


いや、感じろよ!
サブタイトルから感じろよ!
無知が奇跡をもたらしたんだよ!
無知だからこそ彼は真のバードマンになれたんだよ!
あのエマ・ストーンの絶妙な「パパやったわね!」って顔見たらわかんだろ!
パパを全力でディスるシーンも
息を持つかせぬ迫力で最高だった


















「はぁ?結局何が言いたいわけ?あなたとは笑いのツボが…」


いや、こっちこそこの批評性と芸術性と技術が結集された、
まさにアカデミー賞にふさわしい作品を感じられないお前は願い下げだ!


という、
どちら側の人間も、この映画の餌食になっていて、
まさにこの映画そのものである。


だからこの作品の興行収入が、
アカデミー賞・作品賞歴代受賞作の中でワースト2位
(ちなみに1位は『ハート・ロッカー』)であることも
ある意味納得できるわけで、簡単に言えば見る人を選ぶ映画なわけだ。


映画が好きな人は一人で静かに見に行くか、
映画好きの友達と観に行って、熱い映画談議を交わせばいいし、

「映画デートで決めにいくぜ!」という、付き合うには至っていない
女を口説きたい奴は『エイプリルフールズ』とか観に行けばいいし、

というわけで、この92点は自分自身に言い聞かせる92点とします。


個人的には最高に好きな映画で、絶対にDVD買うし、
もう一度観に行って、自分なりに解釈しようと思います。

って言ってる俺かっこいい。的映画の極致。


「この映画を面白いと言える俺カッコいい」

あるいは逆に、

「この映画を認めたら映画をわかってるとは言えない」的映画の極致。

それがバードマン。そしてそいつもバードマン。