注意事項

※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2017年1月8日日曜日

映画『レヴェナント 蘇りし者』80点




ついにディカプリオが念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。

















が、しかし。逆に言うと…

「ここまでやらないとアカデミー賞主演男優賞ってとれないんだ。」

いや、もっとディカプリオ側に立って言えば

「レオ様ここまでやってるんだからもうアカデミー賞あげて!
 もう死ぬしか方法なくなっちゃうから!」

それがこの映画に対する個人的なファーストリアクションだ。


お話としては至ってシンプル。


舞台は1800年代アメリカの西部開拓時代。
ディカプリオ演じる実在した罠猟師ヒュー・グラスの
雪山での過酷なサバイバルを描いた映画。

のイニャリトゥで、撮影監督は引き続き『ゼロ・グラビティ』(100点)の
ルベツキというゴールデンコンビで、
今回、2年連続監督賞を受賞。
ルベツキに至ってはゼロ・グラビティから3年連続!の撮影賞受賞。

そんな夢の豪華布陣でガッチリ固めたレオ様は
19歳の初ノミネートから4回も逃し続けるオスカーを
今回ばかりは!と獲りに来たなぁって感じなのだが、
そこまで体張らなくても!って出川哲朗氏も驚くレベルの
体当たり演技を見せてくれる。

どれくらい体当たりかと言うと

●極寒(マイナス30度近く)の撮影はほぼ照明を使わず自然光
⇒一日で撮影出来る時間は1時間程しかなかったらしい。
ディカプリオとイニャリトゥ監督。寒そう。。













そんなミスが許されない極限状態で撮影し続けると
当然役者側のストレスは膨大で、『マッドマックス』(80点)で
過酷な撮影環境に耐えたトム・ハーディーすらも
キレて監督の首を絞めたらしい。もちろん仲直りしたらしいけど。
トム・ハーディー。いい味出してた。











●ベジタリアンなのに生レバーを豪快食い
劇中で飢えたレオ様がバイソンの生肉を豪快に食らう
印象的なシーンがあるんだけど、
スタッフはベジタリアンのレオ様の為に、本物そっくりのゼリーを用意。

が、レオ様はリアリティが薄れる!と豪語し、食うんだけど
思わず吐き出しちゃってる!ってのは本編を観てのお楽しみ。
それだけ気合い入ってたってことですね。


●ホントにケンカして鼻骨骨折
徹底してリアリティを求める監督は、
映画でもクライマックスとなる終盤における
トム・ハーディーとレオ様のケンカシーンで
本当に殴り合いをさせたらしい。
もちろん骨折しても撮影続行。
そう言われてみなくても抜群のリアリティ。













●熊との格闘はノースタント
話題になった大きな熊(グリズリー)との格闘シーン。











劇場で観ていて「息をのむ」ってのはこのことだなってくらい
息が出来ない程圧倒的リアルなシーンなんだけど、
ここを彼はノースタントでやりきってるんだとか。
熊はもちろんCGなんだけど、
何度も何度も地面に叩き付けられるレオ様は本人。
打撲どころじゃ済まないんじゃね?って誰もが思う。

●役作りのため1年半かけて伸ばしたヒゲ
実際のグラスとの比較














●世界に10人未満しかいない先住民族の言語マスター

と、まぁ恐らくもっとあるんだろうけど、
ありとあらゆる「体当たり演技」「過酷な撮影環境」を
これでもかと詰め込んだこの映画。
そりゃもうアカデミー賞あげてよ!って思っちゃう。
ここまでやったんだから!って。

話しとしてはサバイバル&復習っていうシンプルな構図だし、
(その裏に隠された深いテーマみたいなのがイニャリトゥなら
ありそうだけど)映像も最高に美しいけど、
とにもかくにも

「レオ様もういいよ!よくやったよ!もういいから!」

そう言う映画でしたこれは。
だから受賞出来て本当にとても良かったと思います。



2016年4月16日土曜日

映画『ルーム』93点




2016年4月16日観賞。


ここ最近で観た映画の中で間違いなくベスト。


施錠された狭い部屋に暮らす
5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、
母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。
彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって
7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、
小さな部屋こそが世界の全てだった。
ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、
この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、
そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。

このあらすじを読んだだけで憂鬱な展開は想像にたやすいが、
あらすじだけでなく、この映画の完成度&表現力の高さによって、
映画の最初から最後まで胸を締め付けられるような気持ちが続く。
母子共に圧倒的な演技力!!














まずこの映画の特徴は、「脱出」が映画のメインでは無く、
前半:「脱出」、後半:「犯罪被害者のその後」という構成だと言うこと。


なので、「悪夢と絶望の日々から脱出した!良かった-!幸せな日々が!」
という在り来たりなフィクション的な展開で終わらせてくれない。


そりゃそうだ。現実はそんなに甘いわけが無く、
監禁部屋しか「世界」を知らない5歳のジャックは、
せっかく脱出できたのに「部屋に戻りたい」と言い出すのだ。
天才子役。お願いだからマコーレカルキンみたいにはならないで欲しい。

















この映画のもう一つの特徴でもあるのが、
終始ジャックの目線で描かれていること。

これは彼の演技力無くして全く成立しない演出だが、
表情、声色、動き、全てが圧倒的にリアルで完成度が高いので
大人の僕らも気がつくと5歳のジャックと同じ目線で
映画の中に入り込んでしまう。
子持ちの親が見たら発狂してしまうんじゃないかってくらい。
この「空」を見た瞬間の表情は完璧すぎて鳥肌止まらず。














そして何よりも個人的に涙腺を刺激されたのはラストシーンだ。

それは母親と死にものぐるいで「部屋」から脱出できたのに、
「部屋に帰りたい」と言い続けるジャックが、
母親と共に様々な困難を乗り越えながらも、
最後に取り壊し寸前の「部屋」を訪れるシーンだ。

そこでジャックは、「部屋」に残された自分が慣れ親しんだ家具に触れ、
「こんなに小さかったっけ?」と言う。

そして、そのあと、一つ一つに丁寧に「サヨナラ」と言う。
というか、彼は少しだけ大人になり、成長したからこそ、
あの時大きく見えていた「部屋」の家具が「小さく」見え、
そして彼はあの頃のトラウマを少しずつ払拭できる強さを持ったから、
「サヨナラ」と「言えた」のだ。

あれだけ「戻りたい」と言っていた「部屋」を構成する一つ一つに
「サヨナラ」を告げることが出来たのだ。自分の言葉で。


そして全てに別れを告げたあと、
母親と共に部屋を出るあのカメラワーク。
鳥肌が止まらなかった。

そこに希望の匂いが、かすかに感じられるからこそ、
この映画は絶望では終わらないのだ。



2016年2月20日土曜日

映画『オデッセイ』90点

2016年2月14日鑑賞。


思ってた以上に最高だった。
巨匠リドリー・スコットが78歳を迎えてまた一つ素晴らしい作品を完成させた。

話としては『ゼロ・グラビティ』的で、
火星探査チームの一人、マッド・デイモン演じるマーク・ワトニーが
任務中の天候不良によって火星に一人取り残される。















・残りの食料は1ヶ月分

・次に宇宙船が火星に来るのは4年後

という『ゼロ・グラビティ』のサンドラ・ブロックも頭を抱える程の絶望的状況。


こんな絶望的状況からどんな展開を予想するだろうか?
普通に考えると

まずテンパって、イラついて、絶望して、少しだけ光が射して、
と思ったらまた絶望して、それでも家族のために・・・
なんてことが渦巻きながら、極限状態の中で人間のありとあらゆる本質が・・・

みたいなドロドロ感満載の高カロリー映画を予想している自分がいた。


ところがどうだ。


映画開始数分で絶望的状況に追い込まれるマッド・デイモンは、
残りの140分弱、火星という地球から数億キロも離れた惑星に
取り残されているにもかかわらず、ずっと“ポジティブ”なのだ。
ポスターに使われているこの顔もよく見たら余裕すら感じる。
ジャガイモ作るビニールハウスを完成させて雄叫び!






























劇中に流れる音楽も含めて全てがポジティブ。
一人でカメラ目線で小粋なジョークすら口にし、
絶望的状況を前に、どんなときでも挑戦的、時に挑発すらするのだ。
「火星よ、俺の能力、舐めるなよ!!」と。

TOKIO顔負けのサバイバル能力。なんと火星でジャガイモ繁殖。














序盤からあまりにもポジティブすぎて、スリルが足りなさすぎないか?と
見ていて不安だったが、あるところからそのポジティブさが心地よくなってくる。

それはなぜかというと、我々が生きる現実世界においても
当たり前と言えば当たり前なのだが、
絶対的不利な状況、絶望的状況、窮地を打破・打開するのは、
結局“知識”と“アウトプット”と“ポジティブさ”と、
少しの“ユーモア=余裕”なのだ。
彼の専門は植物学者。ていうか宇宙飛行士って能力半端ない。














だから、どうひっくり返っても火星で芋作れない俺はまだまだです。


そして、この映画は誰も死なない。
こういう類いの映画で誰も死なないって言うのは、かなり勇気のいる展開で、
フィクションにおける「死」は、良くも悪くもスリルと感情移入を生む。
でも78歳の大先生はそんなものには頼らない。


むしろ一見少し恥ずかしくなるような「仲間」の熱い絆や
自分たちの命の危険を去らしてでも彼を助けると決めた仲間達。













現実世界ではあり得そうも無い中国の協力や、
全世界がマッド・デイモンの生還を祈る構図など、
とにかく映画全体がポジティブで前向きに進行する。
で、そのまま気持ち良くフィニッシュするので、とにかく気持ちが良い。


個人的には『ゼロ・ダーク・サーティー』の時と変わらず
常に正しく、冷静でクールなジェシカ・チャステインも最高だった。


















世知辛さ満載で、殺伐とした世の中に正面切って全力で逆走する
スーパーポジティブ映画、皆さんも是非劇場で。



2016年2月17日水曜日

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』採点不能


時代の流れに取り残されてはいけない!ということで観ました。

が、私にはこの映画を評価する資格がありません。
っていうくらい、

巷の人達がワクワクして、興奮して、批判したり、絶賛する、
そんな土俵には決して上がれない程の知識ってことを
観賞し始めてから気がつきました。

さらに良くなかったのが、うちの親父がTwitterで

スターウォーズがつまらないのは、
宇宙の果てまで行っても、親子問題に終始すること。

と、つぶやいたのを観てしまったこと。
そう言われればそうだけど・・・的な、
ファンの方々激怒必死の真理?が邪魔して楽しめませんでした。
未熟でごめんなさい。

ていうか、そもそもこういう映画を楽しめる人間じゃ無いのかな俺は。
色んな意味で何か寂しい気持ちになった。

2016年2月6日土曜日

映画『ブリッジ・オブ・スパイ』88点



個人的には相当久しぶりのスピルバーグ作品だったが、
相変わらずというか、さすがというか、非常に完成度の高い映画だった。


完成度が高い、と言ってしまえば一言なんだけど、
つまり、欠点がほとんど見当たらない映画というのか鑑賞後の率直な感想。

笑いあり、スリルあり、学びあり、感動あり、最後は泣けるという
「やっぱスピルバーグってすげぇわ!」
という、映画として最高品質の作品になっていると思う。
普通に観た方が良い映画だ。

そしてトムハンクスが素晴らしいことは言うまでも無いのだが、
何よりもソ連側のスパイ ルドルフ・アベルを演じた
マーク・ライランスが圧倒的に素晴らしい。
トムとライランス。この何とも言えない表情が良い。
















じゃあなぜ88点なのかというと、これはもう個人的な好みの問題であって、
自分のような映画素人クソ野郎的には、
「完璧すぎて逆に刺激が無い」という、謎のニヒリズム的感想を持ってしまい、
たぶんスピルバーグはあえてやっているに違いない、
「こんな良いタイミングでこんなこと起きる!?」的なフィクション感に
少し冷めてしまったりした。

でも何度も言うようにこの映画はとても良い映画だし、面白い。
ただデビット・フィンチャー最高芸人としては、
毒不足でキレイすぎる映画に満足できないという・・・

とはいえ、
「なんかスピルバーグにしては小粋なコント的笑いが多いなぁ」
と、思っていたら脚本がコーエン兄弟だったりと、
やっぱり改めて相当質の高い映画であることは間違いないわけで、
笑って、ドキドキして、泣けるこの映画、皆さん是非、ご覧下さい。




2015年12月20日日曜日

映画『007 スペクター』72点


2015年12月20日鑑賞。

昨年末に見たが、ずっと書けていなかった。


簡潔に感想だけ言うと、
個人的には前作の『スカイフォール』の方が面白かった。

では何がどう前作の方が面白かったかを説明するには、
そもそも前作の何が面白かったかを整理しておく必要がある。


監督は前作に引き続き、『アメリカンビューティー』で、
アカデミー監督賞、ゴールデングローブ賞 監督賞を受賞したサムメンデス。
ケイトウィンスレットと離婚協議中らしい。















まず、『スカイフォール』の監督がサムメンデス?
え?そっち系の監督でしたっけ?って感じになった記憶が鮮明にあって、

アメリカンビューティーって映画は、ご存じの方も多いだろうけど、
超シュールで痛烈にアメリカ社会を皮肉ったコミカルな作品で、
その後、『ジャーヘッド』とか戦争映画は撮っているものの

「007に見合うスーパーアクションシーンとか得意だっけ?」

って疑問は相当あった。


ところが彼はその疑問を見事に吹き飛ばす可憐なアクションシーンと
サムメンデスらしい人間の暗部を巧みに描く重厚な脚本で、
シーズン史上最も「人間らしい」ボンドを作り上げた。
















そこにいるダニエルグレイグ演じるボンドは、
『カジノロワイヤル』や『慰めの報酬』には無かった
人間としての葛藤、弱さを見せるボンドだったのだ。

個人的にはそんな作品全体のどよーんとしながらも
美しさと格調を保っている感じが好きだったんだけど、

「なんだこれ!暗すぎる!こんなのボンドじゃ無い!」

なんていう、オールドファンの批判にさらされまくったサムメンデス。


こういうシリーズものって恐らく何をどう作っても、
あーだこーだいわれる宿命なんだろうけど。

前振りが長くなったが、
今作はそんな批判されまくったサムメンデスが

超悪くいうと「迎合した」、

さほど悪くいわないと「調和した」「バランスを取った」

作品に落着いてしまったと感じたのだ。


今作にはオールドファンを刺激する
数々のオマージュポイントがあったらしいが、
自分はオールドボンドを知らない無知な鑑賞者なので、
作品内に散りばめられた「あーここにそんなの入れてくるの?」
みたいな興奮ポイントは見つけられなかったし、
そんな昔から見てる人に合わせる必要があるのかメンデス!!
って気持ちになってしまった。


これぞ悪役!っていうクリストフ・ヴァルツも、
演技力はそりゃ申し分ないんだけど、なにせ小さいからあまり怖くないし、
想像以上にあっさり負けちゃって拍子抜けした。













ボンドガールのレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』で
スピルバーグも絶賛のR-18衝撃的ベッドシーンを演じた実力派。
















ボンドガールのわりに強すぎるとか何とか言われてるみたいだけど、
美しさの中に常に悲しみや哀愁が潜む表情が
個人的には結構好きでした。



とはいえ、映画全体はエンターテイメントに溢れ、
退屈無く見れることは間違いが無いので、観て損は無いと思います。
ただメンデスはメンデスを貫いて欲しかったなぁと。



2015年10月24日土曜日

映画『キングスマン』78点


2015年10月18日鑑賞。

名作『キック・アス』の監督マシュー・ボーンということで、
自然とハードル上げ目での鑑賞スタート。


相変わらずこの監督は、
アクションシーンをダイナミックかつ美しく撮影するのが抜群に上手い。

『英国王のスピーチ』で、
アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースが
まさに英国紳士!!
という洗練されたトムフォード的スーツに身を包むスパイなわけだけど、












「最近のスパイ映画はシリアスすぎる」的な台詞が
本編内に差し込まれてることに象徴されているように、
全編通して「シリアス」ではなく、
「あり得ない」=「フィクション」なスパイ映画が展開される。


その極地は終盤の『威風堂々』に乗せたあのシーンに間違いないわけだが、
流石にネタバレになるので伏せます。


たぶんこの映画ってイギリス?欧米において増え続ける下流層の若年層や
それらの原因となり、それらを搾取する巨大企業やら、
そんな現代の社会情勢を反映した映画なんだろうけども、
あまりそういう思想的な視点でこの映画を観ても、
本当に楽しめない感じがしていて、

なんかアクション&スパイ映画としては、
古典的というか、さほど新しいストーリー性や展開はないんだけど、
なぜか新しく見えるアクションや、
「あり得ないっしょ」って笑いたくなる殺戮シーンは、
これが“あのシーン” まさにワロタ














キック・アスから始まる「ポップに人を殺す」という、
映画でしか出来ない究極の表現方法を極めようという
マシューボーンの姿勢に拍手を送りたいと思いました。