2013年8月18日鑑賞。
立派な「ゾンビ映画」にもかかわらず、
「ゾンビ」感を一切排除したPR作戦を展開していたことを知った上で
鑑賞していた身でも、
「おい、これ完全なゾンビ映画じゃねーか!」
と、無駄な抵抗を起こしたくなってしまうほどゾンビ映画。
だけども、ご安心下さい。
この「ゾンビ映画」は、あなたが想像する「ゾンビ映画」ではありません。
そもそもあなたの想像する「ゾンビ映画」って何なのって話だけども、
近年で言えば、ドーンオブザデットを始め、
映画では無いものの大ヒット中の「ウォーキングデッド」。
このあたりがいわゆる「ゾンビもの」なのではないか。
自分はそもそもゾンビものが好きでは無い。
これは好き嫌いの問題だから、あまり熱く書いても仕方ないのだが、
ゾンビ映画にはリアリティーが欠如しすぎている。
なんだよ、そんなのSFだってそうだろ、
てか、そんなの映画ほとんどに言えること!
と、おしかりを受けるのは分かるが、
気持ち悪い顔と体をしたぐちゃぐちゃの人間が
人間を襲い、バッタバッタと斬り殺されたり、銃で粉砕されたり…
特にそんな点に快楽を感じないのだ。
ただ単純に気持ち悪い。
「ウォーキングデット」が魅力的なのは、
そんなゾンビ映画の特色は残しつつ、
(しかもかなり強烈にグロテスクにゾンビをぶっ殺すシーンを描いている)
終末を迎えた絶望的な地球に生きる人間達の泥臭い、
醜い深層心理をこれでもかというくらいリアルに描ききっている点だ。
話がそれてしまったが、そういう意味で『ワールド・ワォーZ』は、
新しいゾンビ映画のジャンルを開拓したように思える。
この映画は「ゾンビ感」を徹底排除したPR作戦そのままに、
確かにゾンビは出てくるのだが、
その詳細はさほど描かれていない。
もちろん気持ち悪い顔して人間を襲うし、
あり得ないスピードで走るし、
噛まれた人間はまたゾンビ化するという
お決まりのゾンビなのだが…
ウォーキングデッドほど、
あからさまにゾンビをぐしゃぐしゃと斬り殺したり、
撃ち殺したり、腕を引きちぎったり、
顔にナイフをぶっ刺したりしないのだ。
つまり、ゾンビ映画にあり得るべき、グロテスクさはほとんどない。
あるのは不自然なほど最強の元国連職員ブラピパパの、圧巻の格好良さ、
そして、ゾンビ化する地球という絶望的な世界を、
ゾンビというフィクションの極みに頼りきらず、
あくまでも極限パニック映画として徹底して描ききる監督の職人技である。
どうせブラピが格好良く地球を救うんだろ?
観る前からおよそ99%の人間が
この映画の結論を予測できる作品にもかかわらず、
120分間ほぼ退屈すること無く、
なんならハラハラドキドキしっかりしながら、
ブラピ頼むよ!頑張れ!なんて手に汗握りながら観てしまう。
とくに大量ゾンビシリーズのCG技術は圧巻で、
終始この映画の絶望感を支えるにたる圧倒的迫力とリアリティー。
あと何年あれば日本のCGはこの技術に追いつくの?なんて
別の方向の絶望感すら味わえてしまう。
という具合にエンタメゾンビ映画として完成されたこの作品ということで、
劇場内の客層は、ゾンビ映画好きよりも、
カップルや親子連れ、中高生男子集団など、
エンタメを求めてきたのであろうと思える階層が主となる。
3Dメガネをかけながら、カップルや友人とワーキャー言いながら、
手に汗軽く握って、2時間を過ごす夏休み映画としては最適の一本です。
ただやっぱり言えることは、この映画はブラピじゃないと成立しない。
彼の存在感と格好良さがあるからこそ120分間観れてしまうのだ。
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