2014年4月23日観賞。
「この映画の主役は、あなたです」
というキャッチコピーのこの映画。
出版社に勤める妄想癖のある冴えない主人公サラリーマンが
表紙を飾るはずのネガを無くしてしまい大ピンチに。
ネガを探すため、写真家のショーンを探す旅に出るというお話。
要するに、「普通の男」が勇気を出して一歩踏み出し、
その勇気によって充実した人生を送ることが出来るという話。
という啓発系のポジティブ映画であることから、わりと評判も高く、
期待してみてみたけど、個人的にはあまりハマりませんでした。
もちろんストーリーそのものは特に否定する要素はない良い話だし、
映像も綺麗だし、音楽も非常にマッチしていて悪い映画とは思わない。
だけど逆に言ってしまえば、それだけ。
「それだけ」っていうのはつまり、主人公に特に感情移入が出来なかった。
僕はこの映画の主役には、なれなかったわけだ。
なぜなれなかったのか少し考えてみたんだけど、
偏重気味のフィクション的な見方になってしまうが、
この映画の主人公が最初から特に不幸に見えなかったからだと思う。
フィクションの定石として、
徹底的に不幸で、ダメで、周囲からもののしられたり、
追い込まれたりする主人公が、何かをキッカケにして激変して、
馬鹿にしてきた奴らをなぎ倒していくという構成がある。
人間っていうのは単純で、この定石を様々な物語に置き換えた
フィクションにカタルシスを覚えるわけだが、
この映画は、そのカタルシスが緩い。というか弱い。
さほど不幸では無い「普通」の男(そもそも普通って何?って話だけど)が、
勇気を出して冒険に行くと、急にスーパーマン的に事が進んでいく。
この「普通」から「スーパーマン」への振り幅が
大きければ大きいほど人は興奮したり、よし!いいぞ!やってやれ!
と感情移入すると思うんだけど、この映画にはその半沢直樹的要素が無い。
だから僕は劇場で終始、
「そこそこ美しい絵画を何枚か観ている」程度の感情起伏しか起きなかった。
「そんな自分は素直じゃないんですかね?」なんて自問自答しながら。
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