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※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2013年11月18日月曜日

映画『悪の法則』77点



2013年11月15日鑑賞。

首をながーくして待っていたリドリースコットの最新作。
豪華キャストそろい踏みで、
脚本はノーカントリーのコーマック・マッカーシーだから
駄作のはずがない!とワクワクしながら鑑賞開始。


いやしかし…
開始10分で、

「これは何やらいつものリドリー先輩と違うぞ」

という空気を察し始める。


そう、亡き弟のトニースコットに負けず劣らず、
さすが兄貴!といういつもの空撮、素早いカット割り、
グラディエーター、プロメテウスでこれでもかと
かましにかましたど派手なCGはなりを潜める。


これってリドリー先輩の映画だよな?
なんて確認したくなるほど
穏やかで、靜かで、不気味な会話劇が淡々と続く。


というわけで、いつものリドリー先輩を期待して
鑑賞に臨んだ人々は、早々に駄作の烙印を
押してしまうのではないかという作品。


僕も冒頭はそんな一人になりかけたわけだが、
しかしどうもそうとは思えない。

話自体はハリウッド映画に「よくある」
麻薬カルテル(メキシコ中心)の抗争話だ。
これが会話劇を中心にゆっくりと動き出す。

一見退屈に思えるこの映画だが、
しかし、「いつものリドリー先輩と違うぞ」という
妙な好奇心をまさぐられた心理状態と
予告でもイヤと言うほど押されている豪華キャスト陣















の重厚な演技合戦で充分に退屈せずに見れる。


中でもやはり圧倒的な存在感を放ったのは
主演のファスペンダーでも、
ペネロペ&バルデム夫妻でも、
ブラピでもなく、間違いなくキャメロンディアスだ。













これまでの清純派、活発女子のイメージを大きく打破する
スーパーウルトラビッチを素晴らしい完成度で演じきる。

老いこそ隠せないものの、
TOHOシネマズ六本木を爆笑の渦に巻き込んだ
「フェラーリとのSEX」シーンは圧巻という言葉でも
全く持って物足りないアカデミー賞もののパフォーマンス。














これは是非劇場で観て欲しい。
キャメロンはもちろん最高なんだけど、
これを口開けてみてるバルデムの顔がまた最高。
ノーカントリーの冷血殺人鬼とは思えないアホ面。


そしてその様子を男子中学生のように
一生懸命ファスペンダーに語るバルデムの2Sは
もはやコントにしか見えない。

劇場は笑いに包まれていたが、
その笑いは、

「笑って良いんだよね?リドリー先輩…」
「笑うところで良いんだよね?」

という、75歳の巨匠の狙いがどこにあるのか
深読みしてしまうほどミステリアスな仕上がりに。


みたいに終始、何か分からない奇妙なつかみ所のない
演出の連続に始まり、連続に終わる。


そんな映画だが中盤以降、一気に殺しのアクセルが全開になり、
タイトル通り「悪」が、それも目に見えない「悪」が
登場人物達に次々と襲いかかり、見るも無惨に殺されていく。


その死に様足るや無力感極まりない。
映画の前半ではドヤ顔で悪いことばっかりしてた人々が
圧倒的な恐怖感を携えながらあっという間に殺される。


そう、これぞまさに「悪の法則」。
「悪」というのはその対象者に知らないところで、
いつの間にかはびこり、いつの間にか忍び寄り、
気がついたときには時既に遅し。

それこそが「悪の法則」なのだ!
って言いたかったんですかねリドリー先輩?


てな、ことぐらいしか無知な僕には分かりません。
だからどう評価して良いのか分からない。
散漫な脚本、何も解決していないじゃないか!といえば
そうなのかもしれないが、個人的にどうも駄作とは思えない…

しかしそれがなぜなのかわからない…



だから77点という採点は、
同じ得点のサイドエフェクトと同じ77点では無い…
だから人には素直に勧められない…
かといって70点以下という程でも無い…

だが、なぜかもう一度観たくなる、そんな映画。


その理由は何度も言うが映画素人の僕にはわからない。
でも確実に一つ言えることは、

75歳にして、新たな種類の映画に挑もうとしている
リドリー先輩には頭が上がりません!


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