2013年11月10日鑑賞。
少し期待しての鑑賞だったが、
驚く程まとまりを欠いた脚本が痛々しい作品だった。
同じカリスマ伝記物で言えば、最近だとやはり
『ソーシャル・ネットワーク』が例に挙がるだろうが、
その完成度には遠く及ばない。
もちろん良いところだって無くは無い。
主演のアシュトン・カッチャーは役作りに励み
歩き方まで非常によく似ていたし、
『バタフライエフェクト』以降、特に印象が無かったが、
俳優としての実力を見せつけてくれた。
だが、それ以外には特にほめるべき点が無い映画だ。
まず冒頭、インド旅行で何かに開眼するジョブズ。
だがその前後や彼の人柄を全く描かずに
ただ単純に天に向かって舞い、祈るジョブズが
スピリチュアルに描かれているので、
新興宗教の教祖にしか見えない。
まぁそういう風に見せて、彼を「奇人」と印象づけるために
あえて冒頭に持ってきたのかもしれないが、
それにしても安易すぎる演出。
こんな感じの冒頭からこの映画の胡散臭さを感じ始め、
もしかしたら駄作かも…みたいな臭いを醸し出し始める。
その後も消化不良な脚本は炸裂する。
『ソーシャルネットワーク』における
ザッカーバーグ顔負けの人間として欠陥ありまくり、
奇人変人はみ出し者ジョブズは描かれているものの、
こんな風にジョブズは会社で裸足、
しかも風呂入っていなくて臭いから上司に風呂入れと
編集所のADみたいなこと言われるわりに、
誰も出来ない機械のアップデートを短時間でやりきり
ドヤ顔で裸足の足をデスクに投げ出す始末。
この辺の真意はともかく、
ザッカーバーグ然り、天才と変人は紙一重というか
イコールで結ばれる傾向があり、
何かしら突出して欠落している傾向がある。
そういう観点ではこの映画というか、
ジョブズの奇人変人ショーとして楽しめなくは無い。
さらに言うと、楽しめたということでは無いが、
アメリカのまさに「契約社会」ぶりには驚かされる。
とにかく義理や人情など彼らの社会通念には存在しておらず、
自分を見いだしてくれた人だろうが、
立ち上げから一緒にやってきた人間だろうが、
邪魔になれば何の躊躇も無く解雇する、切り捨てる。
日本ではあり得ない光景がこの映画で何のフリも無く
何度も何度も訪れる。
ジョブズもその犠牲者であり、
最終的には彼を見いだし、
最初に投資してくれた人間を自ら切り捨てた。
アメリカ人からすれば何の疑問も感じない
映画の一コマに過ぎないのかもしれないが、
これらは日本人にとっては非常に異文化で、
何か胸くその悪さを感じしてしまうシーンだった。
そんなこんな駄作だとか良いながら、
随所に印象深いシーンはあるのだが・・・
しかし一番肝心というか、盛り上がりたい
IBMとの戦争や、同じく時代を作った天才
「ビル・ゲイツ」との対決、ipod・i phoneの発明、
これらがなぜか駆け足どころかほとんど描かれていない。
マイクロソフトに「盗作」されてビルゲイツに直電して
激ギレするという、最も観賞者側が興味ある流れを
予告で流れていた電話シーンのみで完結させるという
ビルゲイツ大先生に圧力をかけられたのか?と
深読みしてしまいそうになるほど乱暴すぎる脚本!
そんな中でも面白かったのは、
『ソーシャルネットワーク』のザッカーバーグも
ジョブズも、なぜかキャンパスで素足であること。
アメリカの天才はみんな裸足なの?
ホリエモンとかも東大裸足で歩いてたのかな?
少なくとも俺は靴下と靴をしっかり履いて
キャンパスを闊歩していたからアメリカにおける
天才にはなれないのかな。
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