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※素人の戯言なので観賞本数増えるごとに点数は微調しています。悪しからず。

2014年1月12日日曜日

映画『キャプテン・フィリップス』82点


2013年1月7日観賞。


ボーン・スプレマシー』、『ボーン・アルティメイタム』など
ボーンシリーズを手がけたポール・グリーングラスの新作。

ボーンシリーズのヒットの影響で、
最近はアクションのイメージが強いグリーングラス。

しかし同時多発テロでハイジャックされたユナイテッド航空93便
機内をいたユナイテッド93』など、
シリアスな映画も得意な彼が今回手がけたのは、
2009年に発生したマースク・アラバマ号」乗っ取り事件で、
ソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップスを描く
伝記をベースにした映画。


彼の作品を全て見てきたわけではないが、
基本的に彼の映画に「ハズレ」のイメージは無く、
今作もWikiを覗いてみるとあまたの賞にノミネートしており、
わりとハードルを上げて観賞スタート。


しかしそんなハードルもしっかり超えてくれたグリーングラス。


130分を超える本編は、序盤からスピード感を失うこと無く、
アメリカの巨大貿易船がソマリア人わずか4人の海賊に
あっという間に占拠されてしまう様子が緊張感と恐怖と共に描かれる。















死人は一人も出ないにもかかわらず、
観賞者側はトムハンクス演じるフィリップス船長と
同じ状況に追い込まれ、目に見えて脅威として接近する
ソマリア人海賊達におののき、為す術無く絶望する。


この映画の緊張感を引き立てているのは、
グリーングラスが世界中からオーディションで選び抜いた
ソマリア海賊役の俳優達のリアリティーだ。














今作が映画デビューというほぼ素人も入り交じる中、
逆にその素人感が演技を超えた狂気のソマリア海賊を
引き立てていて、終始「こいつら何をするかわからん!」という
狂気のオーラを帯びていてドキドキさせられた。


特に海賊のリーダー・ムセ役を演じた
ソマリア生まれのバーカッド・アブディは、
















今作が俳優デビュー作とは思えない圧巻の演技力。
片言にも聞こえる英語の発音も、痩せこけた顔も、
その全てがソマリア人海賊にしか見えない要素となり、
「金のためなら人を殺すこともいとわない」という
情け容赦ない海賊を見事に演じきった。


そして何と言ってもトムハンクス。
彼の演技力を疑うものはいないとは思うが、
特にラスト10分の演技(ほぼアドリブらしい)は、












まさに「迫真」という言葉が当てはまる、
いや、むしろ彼の生涯ベストとも言える迫力だった。


そんな素晴らしい俳優陣が
この映画を支えていることは間違いの無い事実であるが、
さらにこの映画を秀作たらしめているのは、

この映画が決して
「エンタメアクション海賊退治映画」ではないという点だ。

さらにそれでいてグリーングラスの持ち味でもある
短いカットの積み重ねによるスリリングな映像演出を捨てること無く、
徹底して冷静に史実に近い形でソマリア海賊を描いた
サスペンス的リアリズム映画に仕上がっているという点である。


「海上で何が起きたのか」に焦点を当てたかった
と、グリーングラスが意図したとおりに、
黄金伝説の無人島生活顔負け船酔い必至の
揺れて揺れて揺れまくる長時間の船上シーンや、
















本物の元SEALs隊員(陸海空の最強エキスパート軍団)を
採用したことが何回頷いても足りない納得感を得られる
ラストのアメリカ海軍強すぎワロタ銃撃シーン。














このシーンはマジで強すぎるSEALSに恐怖すら感じた。

そして余談ではあるが、
ソマリア海賊がアメリカ海軍を見たとたんに
テンパり始め、開口一番に放った言葉が

「俺たちはアルカイダじゃない」

だったことは、アメリカ人はどう捉えるのかを知りたくなった。


そんなこんなで褒めるべき要素が多々あることから
裏付けされるように、2時間ちょいの上映時間を感じさせない
緊張感を保ち続ける素晴らしい秀作映画だった。


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