2013年9月30日鑑賞。
地球に難民としてやってきたエイリアンを
『第9地区』に隔離して管理する人類
という奇想天外な、もはやコントに近い(上画像がすでにコント)発想を、
長編映画デビュー作で見事映像化したニール・ブロムカンプ監督。
その第2作目と言うことで、それはもうそれなりに、
「あの世界観」「あの奇妙さ」みたいなものを
期待して鑑賞を開始したわけだ。
だがどうだろう。
いや、そもそもこの映画。
2154年-永遠の命が手に入る理想郷“エリジウム”に住む富裕層と、
荒廃した地球に住む貧困層とに二極化していた。
全人類の平和な未来を求め、悲しくも壮絶な戦いが始まる・・。
この設定からして、
ブロムカンプ師匠特有の「奇妙さ」「奇想天外さ」の
臭いは微塵として感じられないでは無いか。
この文字面から誰しも簡単に想像出来るのは、
「ハリウッド的お決まり勧善懲悪」
観る前からわかってるぜ!
それでも気持ちいいから単純な俺らは観ちゃうぜ!
という種類の映画である。
だけどもだけど、思い出して欲しい。
この作品の監督は「あの第9地区」を作り上げた
ブロムカンプ師匠なのだ。
そんな「お決まり」の「勧善懲悪」に見せつつ、
きっと何か「奇想天外な」要素をぶち込んでくるに違いない。
そんな期待感を抱いての鑑賞開始という
書き出しに話を戻そう。
だが、どうだろう。
そのあらすじから醸し出されていた懸念は見事的中し、
拍子抜けする程「通常のハリウッド娯楽作品」だった。
いや、決してつまらなくはない。
それに随所でブロムカンプの意地というか、
いや、意地と言うほどの情熱は感じなかったが、
意思を持ったロボットや、
超アナログにバットマン化したマッド・デイモンなど
彼の味みたいなものは感じられたのは確かだ。
いや、でもやっぱり本編全体を通して
拍子抜けする程「通常のハリウッド娯楽作品」なのだ。
第9地区の監督だと思いながら見始めてしまえば何の面白みは無い。
ではなぜ彼はそんな作品を?
才能の枯渇?
いや、そんなはずが無い。
通常の娯楽作品とは言え、
一つの作品としては、突っ込み所は多少あるものの、
しっかりまとまっているし、アクションやCGも
及第点というレベルにまとめあげていることは確かだ。
というわけで、
クロムカンプはきっと、この作品で「通常のハリウッド映画」も
作れることを「ハリウッド」に証明し、
しっかりと「通常のハリウッド映画」を好む客層を獲得し、
小銭を稼ぎ、「ハリウッド」から信用を得て、
それを元手にまた「あの第9地区」のような、
独創的な作品を作る準備のための作品なんでしょう。
そう思えば、期待を裏切られてしまったという感情も
押さえることが出来る、そんな助走的作品と言うことでいかがでしょうか。
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