1988年にメルボルンでビクトリア州警官2名を射殺し
無罪判決を受けたトレヴァー・ペティンギルと
その家族に材を得て作られたオーストラリア映画。
タランティーノが絶賛するだけあって重厚な良い映画だった。
兄弟みんなヘロイン中毒、母親の目の前で鼻からヘロイン吸引してもお咎め無し。
どころかお茶を飲むかのごとく可憐にスルー。
街で喧嘩売られたら銃で脅してヘラヘラ、
絶望的な家族の絶望的な話。
悪が日常化しすぎて、違和感なくどうしようも無い
家族の様を静かに淡々と見せつけられていくので、
鑑賞側もその「悪」に麻痺する。
この家族って冷静に見たら最低最悪だよね?
っていちいち確認したくなる。
確認しないとこっちがくるっているかのように思わせるほど
この映画ではDQNを極めた家族たちが淡々と描かれている。
DQN系という言葉では語り尽くせないほど、
いや、そんな可愛いもんじゃ無いって程のろくでなしだらけの家族。
実話をベースにしてるって言うんだからさらにその絶望感は増殖する。
主演の少年の終始物憂げな演技もさることながら、
アカデミー賞助演女優賞にノミネートしたジャッキー・ウィーヴァー
(世界にひとつのプレイブックでロバートデニーロの嫁役)の
「悪いおばあちゃん」ぶりは、
「悪い」という言葉では表現しきれないほど、
その表情は終始不気味さを醸しだし、完璧と言っていいほどの怪演だった。
ラストシーンは衝撃だが、その衝撃すらすぐに日常化、
何事も無かったかのように、
「これが私たちにとっては正解なんだわ」
みたいな顔をおばあちゃんがして、
静かに過ごしていくんだろうな、何て納得させられてしまう
静かだけど、エネルギーを持った(それも黒い、とても強い)映画だった。
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