優しく、そして美しく殺す殺し屋をブラピが演じる。
この作品は評価が難しい。
というのも、この作品をどう見るべきかという点において、
鑑賞する前にある程度の予備知識というか、
町山智浩氏がツイッターで書いていたような
「ここ数年のアメリカ経済=金融危機のメタファーである」
ことを認識してから鑑賞するのと、
そうでないのとでは得られる満足感と感想も変わってくる。
僕の場合は何も情報を入れずに鑑賞に臨んだので、
「殺し屋の話」という前情報だけで、
わりとドンパチやるハードボイルド系の映画への仕上がりを予想した。
それでもってテレビCMでの
「セブン・ファイトクラブを超える衝撃」なんていう、
今思うとフィンチャーに失礼極まりないぞ!感満載の
間違ったあおり文句のせいで、よりそのドンパチ感と
重厚感を予想しての鑑賞に臨んだわけだ。
ところがどうだ。
良くも悪くもそんな期待は全く裏切られ、
予想以上に映画は淡々と、そして静かに展開する。
町山氏の指摘通り、終始一貫して金融危機前後の
ブッシュ・オバマ大統領の演説シーンが盛り込まれていく。
ブラピのドンパチハードボイルドを期待した観客からすれば、
これは邪魔でしかなく、映画としてこの映画を見に来た観客からすれば、
社会風刺、政治性を持たせたいのか?その割には薄くね?
的な煮え切らない中途半端感は否めない演出。
だがそれでも、もはや熟練の域に達したブラピの格好良さ、
そして相変わらずの演技力、
これにさらに脇を固める俳優陣のアクの濃い演技力が絡み合い、
写真左のベン・メンデルソンは、アニマルキングダムでも
相当いい味出していた個性派俳優。
それだけでも十分見ることが出来るし、見る価値はあるし、
彼らの織りなすタランティーノ顔負けの会話劇も
おい、なげーよ!って思わなくもない箇所があったにはあったけど、
ウィットに富んだ言葉の応酬と、斬新なカメラワークで見ることが出来る。
だが、やっぱり結局良くも悪くもブラピ。
ただ単にタバコを吸って歩いているだけで様になるという
言葉だけでは収まりきらない、日本のイケメンと呼ばれている俳優達なんて
比べることすら値しない、貫禄の格好良さ。
それが軸となる映画であることは間違いない気がする。
というわけでブラピが出ていないと恐らく見ていないということで、
必然的にこんな点数にはなってしまう。
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